2009年12月24日

めりーくりすます

もう20年近い前のこと、
ツネちゃんというオバチャン友だちがいました。

ツネちゃんは若い頃はお金持ちの奥さまでしたが、
当時の小豆相場に手を出し大きな借金をつくり、
家を追い出された後は
あれよあれよという間に全てを失い、女性では珍しいホームレス生活者となりました。

毎年クリスマスには海外旅行などを楽しんでいた生活から一転、
日雇い労働の人たちと一緒に西成で寝泊りをし、
夕方からは大阪環状線の高架下にダンボールを敷き、
酔客を相手に、自作の短歌や詩を書いて売っているのです。



ある年のクリスマス、
私は差し入れたメロンパンをツネちゃんと一緒に食べながら
ダンボールの下のアスファルトの冷たさを感じていました。

このパンを食べたところで、ツネちゃんの明日がどうなるという訳でもなく
その日はいつものように「ほな、また来るね」と言えずに帰ったのです。



それから1ヶ月ほどたち、
いつもの場所を遠くから見る日が続いたのですが
あれからツネちゃんの姿を見かけることがありませんでした。





20年前はホームレスの存在を気に留める人も少なかったけれど、私には“人事”だと思えないような気持ちがありました。

それは、人間は弱い生き物だから、
ボタンひとつかけ間違っただけで、どんな生活にでもなる可能性があると思うから。




大阪で過ごす久しぶりの今年のクリスマス。

ケーキだ シャンパンだと呆けた頭ではあるけど、

ツネちゃんと過ごしたクリスマスイブを思い出しています。




ツネちゃんの書いた詩を我らがビレッジプレスが当時、本にしてくれました。icon15

http://liberobooks.noblog.net/blog/s/10245066.html





 
  めりーik_48くりすます 












  
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Posted by やまさき あおい at 16:07Comments(0)ひとりごと